第41回蔵前科学技術セミナー2019年10月19日(土)

 一般社団法人蔵前工業会は,国立大学法人東京工業大学との共催により,時宜に適した技術テーマを皆様と考える「蔵前科学技術セミナー」を,年2回開催しています。 今回のテーマは、 「激甚災害に挑む科学技術」 です。
 建物の耐震に関する研究や,大規模な水害への予測と備えに関する研究,及び密集市街地における被害の様相と対応策を紹介いただき,巨大化する自然災害(地震,津波,水害)に対する,行政の取り組みと大学での研究の現状を知る機会とします。
セミナーのパンフレットがダウンロードできます。 
 日時:  2019年10月19日(土)  講演会 13:00-17:30(受付開始12:30)
            交流会 17:50-19:20
 会場:   東工大蔵前会館 1階
 くらまえホール(講演会)、 ロイアルブルーホール(交流会)
  東急目黒線・大井町線 大岡山駅 下車1分(東京都目黒区大岡山2-12-1)
 
 プログラム:  
     
 講演1: 「自然災害への行政上の取り組み」            
   先端建設技術センター理事長,元国土交通事務次官 
 佐藤 直良 氏(S50土52修)
 
 講演要旨:
 日本は、その地理・地形・地質条件から、欧米等の先進国と比較して災害リスクが高く、特に近年では、毎年のように豪雨や地震等による災害が発生しています。自然災害に対し防災、減災の観点から、行政は災害対策基本法を基本とし、河川法等の個別法に則り様々な対策を行なってきたところです。さらに近年激甚化する災害に対し、これらに加え強さとしなやかさを備えた国土強靭化に取り組んでいます。今後、気候変動により水害等の頻発・激甚化、さらには南海トラフ地震をはじめとする国難級の巨大災害に対しても備える必要があり、特に事前防災として自然災害に対する公共インフラによる被害軽減対策等、行政の取り組みがより重要となっています。
   
 講演2: 「巨大化する自然災害への東工大の取り組み」
  東京工業大学 環境・社会理工学院長,教授
中井 検裕 氏(S55社57修)
 
  講演要旨:
 近年頻発している激甚災害や近い将来予想されている巨大地震に対して国土や都市を強靭化することは我が国の喫緊の課題であり、東京工業大学では様々な分野で強靭化に資する最先端の研究を進めています。災害リスクは一般に(1)hazard、(2)vulnerability、(3)exposureの3要素から構成されるとされており、それぞれの要素における代表的な研究領域を解説するとともに、本学でも特に防災・減災に最も深く関わる環境・社会理工学院で行われている研究テーマについて概要を紹介します。また、講演者の専門である都市計画分野について東日本大震災からの復興都市計画を例に、防災・減災技術の実際の社会への展開についてお話しします。
   
 講演3: 「建物に関わる耐震研究の現状」
  東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所教授
山田 哲氏
  
  講演要旨:
 経済や行政など社会機能の中枢が集まる大都市には、超高層建築が建ち並んでおり、住宅の高層化も進んでいます。 このような大都市を巨大地震などの自然災害が襲った場合、建物自体の倒壊は免れたとしても多くの建物で機能が停止すると、社会機能が長期間にわたり麻痺することになります。そこで、東京工業大学が中心となって産学連携のコンソーシアムを立ち上げ、建築基準法の想定の1.5倍の強さの地震に対して超高層建築の構造体を補修不要なレベルに留め、設備・非構造部材の機能を確保し、建物の健全性や機能レベルをモニタリングするとともに、人々の「安心」につなげる情報発信を行っていくことを目標とした研究を進めています。
   
 講演4: 「水災害予測研究の最前線」
  東京工業大学 環境・社会理工学院教授
鼎 信次郎 氏
 
 講演要旨:
 まず,私どもが世界に先駆けて数年前に発表した,地球温暖化が世界の河川洪水変化にもたらす影響について,その周辺動向なども含め紹介しました。次に,昨年の西日本豪雨がもたらした水害について,学生など若者と一緒に調査,勉強した結果を紹介しました。最後に,NASAが2021年頃打ち上げ予定の最新衛星SWOTについて,特にその衛星データを前提とした世界の河川流量の推定について,データ同化という技術を核とした研究の進展について紹介しました。これら全て,激甚災害に挑むという最終目標のために,人づくりから未来の科学技術の探求までということで,私の周囲で一歩ずつではありますが教育・研究が進められているものとなります。
   
 講演5: 「首都直下地震に備える:何が起きるか,どう備えるか」
  東京工業大学 環境・社会理工学院教授
大佛 俊泰 氏(S60建63修)
 
 講演要旨:
 東京都の被害想定(平成24年4月)によれば,東京湾北部地震(M7.3)発生時には,800棟以上から出火し,20万棟以上が焼失し,火災による死傷者は2万人以上にのぼるとされています。被害を最小限に止めるためには,過去の災害から学んだ経験や知見を最大限に活用した対策が求められます。「何が起きるか」という単なる被害想定に留まることなく,「何をすべきか」という積極的な減災対策の一助とするべく,多種多様なデータとコンピュータ関連技術を駆使したシミュレーション研究についてご紹介します。
 

参加費: 講演会 無料   交流会 3,000円(学生・生徒は無料)
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