滝 久雄S38機

貢献する気持ち  ホモ・コントリビューエンス
貢献する気持ち ホモ・コントリビューエンス

発行:紀伊国屋書店
定価:1,575円(税込)
内容:「貢献する気持ち」を推薦する


「貢献する気持ち~ホモ・コントリビューエンス~」は、滝久雄という一事業家が哲学的、倫理的なこころの旅を語ったユニークな著作であり、けっしてサクセスストーリーでもなく、ハウツーものでもない。読む人を惹きつけるのは、“貢献するこころ”の存在に気付き、長い年月を経て、遂に“貢献心は本能だ”と悟るまでが、非常に軽い語り口であっても熱っぽく展開される迫力だ。しかも、ボランテイア精神という気負いもなく、強い信念をギラギラとさせた社会貢献を鼓舞するのでもない。貢献心はあくまでも本能に根ざしているので、誰もが生来持ち合わせ、自然に芽生えるものだと語るところに、説得力がある。

 誰もが持ち合わせているとはいえ、眠っているとも思われる貢献心を呼び覚ますには、どうしたら良いのか。こうした問いに対して、著者は「自らが他者に生かされている」ということを心底から理解し、感謝の念を抱くことが肝心だ、と明快な答えを返す。だからこそ、貢献する気持ちが、健康で幸せな人生と、さらには安心で豊かな社会への道を開くことを可能にするのだとも。

貢献心の実践例として、日本の食文化に情報技術を導入して創り出された「新しい食文化事業」、さらには芸術と情報技術が織り成した「新しい交通文化事業」など、著者自身の体験をさらりと語るくだりも嫌みがない。「他者に生かされているとの思いから、他者に奉仕し、社会に貢献するこころ」が、こうした事業に少しのぶれもなく一貫して生かされているからだ。素晴らしい、の一語につきる。

 貢献心を目覚めさせるだけで、さまざまなことがらにきわめてポジテイブに立ち向かえるよう、ポンと肩を押してくれる好著である、と私は思う。なお、本書の英語翻訳版が近々英国で出版される予定であり、さらに最近刊行された「現代倫理学事典」(編集代表 大庭健、編集 加藤尚武 他、弘文堂)は“貢献心”を倫理学用語として早くも取り上げている。今後、ますます社会的関心が高まるのではないか。
相 澤 益 男 内閣府総合科学技術会議議員、前東京工業大学学長

ぐるなび 「No.1サイト」への道
ぐるなび 「No.1サイト」への道

発行:日本経済新聞社
定価:1,575円(税込)
内容:書 評


あまりの面白さに、翌日はゴルフで早起きなのも忘れて、深夜まで読みふけり、一気呵成に通読しました。技術を熟知して新分野を開拓し続けて成功する経営者とはどの様に考え、どの様に準備し、どの様に時を捉え、どの様に行動するのかといった、素朴な疑問に見事に応えてくれる深い示唆に富んだ素敵な内容に満ちています。やはり並の人ではないなと感銘致しました。MOTの活きた教科書ですね。一途に光通信の研究を進めてきたものにとって、それがもたらす画像伝送のコストを下げる意義を現実的に学び、愉快かな、と感じた本でした。

末松安晴先生(国立情報学研究所顧問・東京工業大学元学長・30電36博電)の手紙より