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■   2020年度第2回卓話会報告

 10月21日、如水会横浜支部にご紹介頂いた一橋大学・中野聡学長を講師に、
『日本・東南アジア関係を考える:「コンフォート・ゾーン」からの行方』と題したオンライン講演会を開催しました。

中野先生は歴史学がご専門で、米国外交史、米国と東南アジアやアジア太平洋の国際史を研究されています。

蔵前工業会員や如水会員、さらには本学の益学長も参加され、80名を超える方が聴講しました。

講演では、アジア太平洋の日韓米中・東南アジアを五角形の頂点に置き、その頂点を結ぶ事で2国間から5国間に至る
様々な組合せを想定し、それぞれのケースで歴史学の視点から、国際関係のダイナミズムを読み解かれました。

また、日本のアジア広域概念が「東アジア共同体」、「アジア太平洋」から「自由で開かれたインド太平洋」と変遷する中、
いずれの時代でも東南アジアは必須の存在であると述べられました。

 一方、多様な摩擦が残る北東アジアと異なり、東南アジア諸国は日本にとって居心地の良い「コンフォートゾーン」と
なっているとの指摘がありました。このプロセスとしてフィリピンを例に、戦後の日本が礼をもってお詫びと償いを
繰り返す中で、カトリック国として「赦し」の文化をもつフィリピンの国民感情が反日から親日へと変化した点を解説
されました。

また、時が流れ薄れいくこの記憶を、次の世代に伝える必要性を語られました。

直近の日本外交の主要課題である「自由で開かれたインド太平洋」構想の中で、日本と東南アジアの関係を考える時、
時宜に適った内容で示唆に富んだ有意義な講演でした。

                                            大石庸之(S51高分子、S53化工修)