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神奈川県支部案内

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■       神奈川県支部2019年度第1回卓話会報告

 例年神奈川県支部では、如水会横浜支部ご紹介の講師をお招きし、交流を図っています。

令和元年度は10月9日(水)、川崎商工会議所において「オリンピックが刻んだもの~1940,1964,2020、それぞれの時代、社会の中で」
と題し、一橋大学大学院社会学研究科の尾崎正峰教授による講演会を開催しました。
来年に東京オリンピックを控える中、時宜に適ったテーマであり、如水会横浜支部の会員を含めて約70名が参加しました。

 講演の冒頭、オリンピックに関わる話として、「オリンピアード」の意味(競技会だけでなく、理念を実現する4年の区切り)や、
オリンピック憲章には国別メダル獲得数ランキングの作成禁止の条項がある等が紹介されました。

本論では、ご専門のスポーツ社会学の観点から、開催に纏わる社会的背景や、人々の受け止めについて解説されました。

幻となった1940年東京大会は、関東大震災からの復興の象徴として招致され、都市整備や各種開発、懸案であった埋立地の
活用が計画されました。その手法は戦後復興を謳う1964年の東京大会に継承され、開催を名目に道路などのインフラ整備が
進められました。

一方、人々とオリンピックの関わりとして、昭和初期のスポーツ熱が1940年大会招致の社会的背景であったこと、1964年大会では、
当初低かった人々の関心が、全国を回る聖火リレーにより高まり、それが一体感の醸成に寄与したことも述べられました。

 2020年大会でも従来同様の開発主義の残滓が透けて見えており、オリンピックを取り巻く状況(大会規模の肥大化、立候補都市の
減少と相次ぐ辞退、複雑な国際情勢、開催後の負の遺産)に鑑みると、開催手法の見直しが迫られているとの指摘がありました。

 最後にポスト2020年では、日常のスポーツの振興あってのオリンピックであるという理想に向けて、そのあり方を問い続ける必要性
が述べられました。90分にわたる熱のこもった講演で、映像や音声を交えた示唆に富む内容を、一同興味深く拝聴しました。

                                                                                         大石庸之(S51高分子、S53化工修)