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   神奈川県支部 平成26年度第1回「卓話会」報告

 10月8日(水)の卓話会は、元一橋大学経済研究所客員教授の(株)ロシア・ユーラシア政治経済ビジネス研究所代表
取締役隈部兼作先生による川崎市商工会議所会議室での「ロシア政治経済の現況と今後の日ロ関係-ウクライナ情勢を
踏まえ」と題する講演でした。隈部先生は、1ヵ月半おきにモスクワにいらしているロシア通で、マスコミによる報道では
わからないロシアに関する情報を出席者一同知る事ができました。
 『ウクライナ問題』については、「ロシアはウクライナ政変をクーデターとみており、停戦合意後もロシアに制裁を課す欧米に
不信感を持っている。問題解決の鍵は、①9月合意の停戦の行方②10月26日のウクライナ議会選挙③米国の対応であり、
今後の見通しは、東部に強い自治権を与え分裂国家にはせず、選挙結果如何でロシアを含めた全方位外交に戻る」との事でした。
 『ロシアの現況』については、「プーチン大統領はウクライナ危機への行動が評価され、支持率が87%に達した。経済は歳入の
約5割、輸出額の約7割を燃料が占める等エネルギーに過度に依存しているため、同国の経済成長は原油価格と相関し、油価
上昇が止まると経済成長も止まる。ウクライナ問題発生前から経済は停滞し始めており、経済構造を如何に多角化するかが
最大の課題である。欧米の制裁によりデフォルトの話題も出たが、外貨準備は世界3位で対外債務返済に支障はない。
同大統領は自国経済の課題をよく認識し、汚職を含むビジネス環境整備等を掲げているが、問題は分かっていてもなかなか
実行できない」との事です。
 『日ロ関係』では、「東日本大震災の際、モスクワでは[さあ日本を助けよう]と書かれた巨大看板が立てられ、米国に次ぐ
人員が救援に来た。日ロ関係を良好と思う日本人は3割程度なのに対し、ロシア人は約7割が良好と思っている」等の紹介
がありました。
日本のマスコミ報道だけで世界を理解するのは危険だとつくづくと感じさせられた講演会でした。
                                                           (S45修 化学 平山南見子)