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神奈川県支部案内

■ 神奈川県支部 2022年度講演会報告

 11月07日(土)に会場(東工大蔵前会館くらまえホール)とZoomオンラインのハイブリッド形式で講演会が開催され、「科学が進めば単位が変わるー究極の基準を求めて-」という演題で、産業技術総合技術研究所(産総研)の臼田孝様(S62精シス修、H12博)にご講演を頂きました。

 臼田様は卒業後、工業技術院計量研究所(現産総研)に入所され、標準器の開発を経て、在外研究機関での研究員を歴任され、現在、産総研執行役員兼計量標準総合センター長としてご活躍されています。また、国際度量衡委員会の幹事でもあります。

 講演の前半は単位の成り立ち(定義、現示・原器と複製・較正)の歴史から、メートル条約成立(国際単位系(SI)の体系化)に至るまで、国際基本7単位の定義改定と施行の過程が紹介されました。特に、「もの」であるメートル原器と国際キログラム原器の精度の維持などの懸念を払拭するために、基礎物理定数による単位の定義改定とそれがもたらす効果について詳説されました。本講演では単位の歴史、メートルとキログラム原器に関するビデオも放映され、単位の基準がより身近な存在となりました。

 後半は今後のメートル条約下の組織活動として、11月開催の国際度量衡総会の決議案のなかからSI接頭語の追加採択案とUTC(協定世界時)の統一案の議論について説明されました。さらに、単位の基準という公共財を地球規模でどう維持するかという問題提起と共に、単位の基準の底流にある“測る”行為の重要性や定義改定についての思いにも言及されました。講演後の会場とZoomのチャットでの質問にも示唆に富む回答を頂き、参加者にとって、科学技術の進歩が支える単位の基準の重要性と深淵さが再認識され、大変有意義な講演会となりました。

 講演会に引続き3年振りの対面での懇親会を、新型コロナに対応した形で開催し、親睦を図りました。参加者は会場とZoomオンライン合せて67名、懇親会は20名でした。

論手素直(S53物情修)

 

(懇親会での臼田氏の挨拶)


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