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神奈川県支部案内

■               神奈川県支部 2022年度第1回卓話会開催報告

 10月12日、如水会横浜支部からご紹介の横浜国大名誉教授 長谷部勇一先生(横浜国立大学前学長、一橋大学外部理事)を講師にお招きして、

    『サプライチェーンのグローバル化を考える-日本および主要各国の経済的依存関係の分析』

と題した講演会をオンラインで開催し、蔵前工業会員に加え如水会員を含めて約100名の方が聴講しました。

 長谷部先生のご専門は経済学で、特に産業連関分析において、数学的・統計学的手法を駆使して、国際分業構造の変遷を分析されています。

 経済のグローバル化によりヒトの往来やモノの流通が急拡大した今日、世界的なコロナ感染やロシアのウクライナ侵攻が世界経済に大きな影響を及ぼしているとの指摘がありました。そして産業連関分析(Input Output Analysis)を基に、様々な国・地域間の多数の部材・部品の移動を、膨大なデータを用いて数学的・統計学的に解析する手法を解説されました。

分析結果を3D棒グラフ化する事で国際分業の進展を明示され、例として2000年頃までは先進国(日米欧)からの様々な中間部材輸出の占める割合は大きいが、それ以降は中国からのものに取って代わりつつある事や日本の供給力低下を述べられました。さらに、炭酸ガス排出量の国際間での移転と言う現実にも話が及びました。

 国際分業の構造を数学的・統計学的手法により解析する点は大変興味深く、国の経済安全保障の観点から、本分析の重要性を認識できました。オンライン上での活発な質疑応答もあり、有意義な卓話会となりました。

大石庸之(S51高分子 53修化工)

☆長谷部先生おすすめの書籍

① 英語版
  "Input-Output Analysis: Foundations and Extensions"
   Ronald E. Miller , Peter D. Blair    Cambridge Paper book  2022/1/13

② 日本語版、定評の教科書
  『産業連関分析入門 6版』
  宮沢 健一 (編集) 日経新書  1995/6/1

③ エクセルで試しながら勉強できるもの
  『はじめよう 地域産業連関分析(改訂版) [基礎編] Excelで初歩から実践まで』
  土居 英二 , 浅利 一郎 , 中野 親德  日本評論社 2019/2/19