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■          2021年度第1回卓話会報告

 10月14日、如水会横浜支部にご紹介頂いた一橋大学・大学院経営管理研究科長兼商学部長の
田中一弘教授を講師にお招きして、
         『渋沢栄一の「論語と算盤」-現代の私たちが学ぶべきこと-』
と題したオンライン講演会を開催しました。

蔵前工業会会員は神奈川県支部以外からも40名以上、如水会会員も県内3支部から10名と、
合わせて約150名の方が聴講しました。

田中先生のご専門は経営哲学、企業統治で、その観点から渋沢栄一を研究されています。

 初めに、渋沢栄一のプロフィールと様々な企業や社会事業を起こした業績が紹介され、人材育成のため
一橋大学の維持・発展に関わった点にも話が及びました。

「論語と算盤」において、“消極的道徳(してはならないこと)は経済に不可欠であり、同時に経済なくして
積極的道徳(なすべきことをする)なし”とした道徳経済合一説を解説され、A.スミスやM.E.ポーター等、
西洋の合一説と比較されました。

さらに、渋沢栄一の道徳経済合一説に照らして、昨今の戦略的CSR(CSVやSDGs)を検証し、
その本質的相違点を指摘されました。
そして、経営の本質は公益追及への社会的責任に他ならないとした渋沢栄一の考えに言及されました。

新しい資本主義に向けては、積極的道徳をいかに経営に組み込み、「公益第一、私利第二」で
公益と私利の共存を図る事が必要である点を強調し結語とされました。

示唆に富む講演内容で、「論語と算盤」への理解が深まるとともに、CSRやSDGsに関しても改めて考える
機会となった有意義な講演会でした。
                                       大石庸之(S51高分子、S53化工修)