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    平成27年度第二回土曜講演会報告

開催日時:   平成28年3月12日(土) 14:00 – 16:00
場所   :   くらまえホール
参加者  :  多数の一般参加者を含む88名
講演題目 : 「東工大発の量子コンピュータ」
講師    :  東工大大学院理工学研究科 西森秀稔教授
 
 量子力学によると、極低温で超電導状態の微細リングに電流を流すと、右回り・左回りの電流の向きが確率的に存在する。
この電流の向きを情報の「0」と「1」に対応させれば、一つの回路で2つの状態を同時にもつことができることになる。講師が世界で最初に
提唱した「量子アニーリング」理論によれば、このリングを多数連携して並べ、確率的状態を制御する仕組みを加えると、近年話題の
機械学習、特に最適化問題の解法へ適用が期待されるコンピュータが作れることになる。東工大発の理論研究が量子コンピュータの
開発に結びついたという大変素晴らしい話だった。ただ、製品はカナダの若い物理専攻の学生が起こしたベンチャーが開発とのこと。
この点は少し残念な所だと思う。これからの時代、日本の大学で科学技術を学ぶ若者にも是非ビジネスに関心をもって起業するような元気
を期待したい。
 量子力学的な現象が含まれる難しい内容をわかりやすく解説していただき、聴講者一同量子コンピュータの理解を深めることができた。
会場からは技術の詳細から実用化まで幅広い沢山の質問が出され、皆さんにホットな議論を楽しんでいただけたのではないかと思う。
東工大発の先端の研究成果が今後も次々と生まれ、世界に貢献していくことを期待したい。
 
                                                      雁部洋久 (S48電物、H16博 電電)